bubble water
「でかけてくるね」
玄関に座りながら、お気に入りのパンプスに足先をいれる。
「どこにいくの?」
居間にいる母親から声をかけられた。
「う~ん、そのへん散歩してくるから夕飯には戻ると思うよ~」
玄関に一緒に出てきていた、実家の愛猫の喉をひと撫でしながら答えた。
「おまえはいつみても美人だな~」
ごろごろと喉をならしながら、気まぐれにするりと離れていった。
「気を付けてね」
そんな母親の声を聞きながら、いい歳した大人だよと心の中でつぶやきながら玄関の扉に手をかけた。
「いってきます」
春の訪れはきて、日中は過ごしやすい気候になっている。
携帯とお財布とカメラだけカバンにいれて家を出た。
涼しい風を受けながら、昔通っていた通学路を歩いて学校までの道のりを進んでみる。
大きく変わったのは、車の通りが激しくなったことと、歩いている大学生ぐらいの子たちで、大きくこの町が変化した感じはやはりしないなぁ~としみじみ感じた。
いや、でも大学が出来た時点で変わってるはずなんだけどな…
そう街の雰囲気が変わらないのは田舎だからなのかと考えてもみるがこればかりの答えはわからない。