何度も 繰り返し覗く世界は鮮やかで、やきついて離れてくれなかった。
あの日のことをどんなに深いところまでも覚えているのに、青と白のコントラストは君の小麦色の肌を照らしキラキラと眩しい光が僕らを取り巻いているのに、今色のない瞳にうつるのは灰色グラデーションの情景と夢に観るモノクロの幻想だけ。
鮮やかな万華鏡の中で甘やかに笑っているあまりにも簡単に願いを叶えてしまった君は、僕にまだ終わらない物語を見せる。
無防備で無垢で明日を疑わなかったあの頃の思い出を、瞬くたび違う色で観せながら
僕に息をさせ続けるんだ。
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一頁の文章で魅せられました。浮かび上がる情景があまりにも現実的で、夢を見ているようでした。
色のない世界でも万華鏡を覗き続ける限り彼はこの世で息をし続けるんだろうなと思います。彼女に生かされ続けるんだろうな、と。
素敵な御話ありがとうございました。
ぜひ、御一読を。