カメカミ幸福論
第3章 神、罠を仕掛ける

・神か同期か?



 長年、気のいい同期だと思っていた小暮に、何と告白されてしまった。


 それもどう考えたってないくらいの、最悪の状況で。


 本来なら一番大事なはずの、小暮の独白場面。その間の私は疫病神のダンによって言葉の自由を奪われていたので、彼の言葉などそっちのけで必死で抗戦していた。よって、ほとんど聞いていなかった。

 そして本来なら、二人っきりの夜の公園でのそれなりにロマンチックな告白シーン。実際には、無駄に輝いているダンが喜びのあまり小暮の後ろで踊りながら「うんと言え~!!」と叫びまくっていたせいで、3流のコメディ映画を観ている気分だったのだ。

 ダンの後光のせいで小暮は霞みまくり。

 ダンの叫び声のせいで私はどんどんやる気を失っていく。

 返事をしようがなく、うんざりした表情を浮かべる私を見て、さすがに傷付いた顔の小暮。そこで私はやっとハッとして、急いで取り繕ったのだった。

 ごめんね、あまりに急でビックリしてしまって。そしたら急に酔いがまわって吐き気が・・・うぐぐぐ。とかね。必死で演技。

 小暮は慌てて私の背中をさすり、支えてくれながら公園を出た。そしてボロい私のアパート下まで送ってくれた時に、ようやく私は口に出来たのだった。

「あの・・・さっきの話だけど」

 付き合ってって、小暮が言ったのが蘇ってきて、私は急に羞恥心を覚えた。うわお!私ったらまさか告白されちゃった?!ってな感じで。だけど、小暮に恋愛感情なんて持っていない。だからやっぱり―――――――――・・・

 そう思ってごめんなさいするつもりだったのだ。


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