カメカミ幸福論
「え?何言ってんの。いいからさっさと出て行ってくれない?シャワー浴びたいし、私」
私は露骨に顔を顰めて手のひらでしっしと追い払おうとする。全く、今日一日で私の顔には皺が深く刻まれてしまったはずだわ、もう!
「気にせずに浴びてくれ。俺はどこで休めばいい?狭くて汚れているが、そろそろ慣れたし我慢出来ると思う」
「・・・いや、どうぞ消えてください。そして天上世界の美しい自分の家で休んで下さい」
「ムツミにつくって決めたんだよ。全部一緒にやるから宜しく~」
私は真顔に戻った。
「・・・全部?」
「全部。ご飯も食べるし、夜もここにいる。とにかく姿を消すことはないってことだな」
「――――――え、何それ。超迷惑だから却下よ却下」
目を見開いて冷たい声でそう言った私に、ダンは例の、悪魔みたいな微笑を浮かべて言ったのだ。
俺、言ったよな?って。
これからは俺のやり方でやるぞって。
「宜しくな、ムツミ。俺の初めての同居生活だ、光栄に思うべきだぞ、そこのとこ」
疲れきった私は化粧を取ることも放棄してその場にうずくまる。
やたらと美貌の男神、ダン。
なんと、正真正銘の同居人になるつもりらしい―――――――――――――――