カメカミ幸福論
・神と同居生活
午前6時40分、その時間には、私の目覚まし時計が鳴る。
学生時代から使っていたペンギン形の目覚まし時計で、一人暮らしをする時に持ってきてからもずっと使っているものだ。
そのペンギンが羽をバタバタと動かしてピピピピピと可愛らしく鳴るのを、今までと同じように、同じ手順で、私は止めた。
会社には行かなくてはならない。
なぜなら元々崖っぷち社員の私なのだから。
行かなくては席がなくなるし、遅刻するのも大変宜しくない。
その当たり前のことはやっておいて、仕事そのものは手を抜きまくる、そのスタンスでやってきたここ3年、だけど――――――――――今朝は、いつもと違ったのだ。
ペンギンの頭を叩いてベルを止めたとこまでは同じだったんだけれど。
「・・・・」
まだ寝ぼけて半眼の私は、そのよく定まらない視界の中に光る物体を見つけて黙り込んだ。
その物体はキラキラと光っていて、カーテンの隙間から入ってくる真夏の朝の光よりも眩しいくらいだ。
細くて長くて艶やかで美しいプラチナブロンド、それと同じ色の長い睫毛はまだ伏せられている。整った白くて透明な明るさを放つ肌、完璧な美貌。男であると判るのは、通っているけどしっかりした鼻筋や、顎の形、それから太い首や広い肩幅のせいだ。それ以外は、ガラス製のマネキンが寝ているみたいだった。
私の隣で、ダンが寝ていた。