カメカミ幸福論
私はいつものように素直な気持ちになって、今日実家に戻ってからの展開をつらつらと話す。それを祖父母は黙って聞く。時折、おじいちゃんの吐き出すタバコの煙が窓から入ってくる風に揺らいでいた。
「誰かに好意を寄せられるということは、素敵なことね、睦ちゃん」
おばあちゃんがそう言って、団扇で風を送ってくれる。私は慌てて自分も団扇をとり、私がやるよ、と言った。
「いいじゃあないの。返事なんて焦らなくても大丈夫よ。ゆ~っくり考えたらいいわ。その人だって、きっと覚悟をもって気持ちを伝えたはずよ」
「そうかな・・・」
私は団扇を動かしながら、ぼんやりと呟く。
一緒に住みだしたダンと、告白してくれた小暮。一人で暮らしていた私の周りに、いきなり男性がぽこぽこ現れた感じなのだ。
私は今のところその展開についていくのがやっとのことで、正直に言えばそんなに深く考えられるかい!ってな状況だった。
だって、一人は人間ですらないわけだし。
ユラユラとタバコの煙がのぼっていく。3人でいる8畳の部屋は静かで、窓の外から小さな虫の声が聞こえていた。ダンが近くにいないのが久しぶりだった。私は、かなり寛いでいたと思う。
「ねえ・・・おばあちゃん。結婚相手って、どうやって決めるの?」
気がついたら私はそんなことを言っていた。祖父母の時代は戦前で、自分の結婚相手は自分では決められないことも普通であったと知っているのに。