カメカミ幸福論


 私は振り向いたけれど、そこには既に寝る体勢に入って寝転んだダン。その長くて綺麗な睫毛を柔らかく伏せて、やたらと光る人形みたいな外見で寝ようとしているところだった。

 私はよく判らなかったダンの言葉が気になって、ちょっと、と話かける。

「何か言った?」

「ううん~」

 返ってきたのは簡単な返事。

 ほろ苦い、ビールの回りもあった。

 だから私は敢えて追求はせずに、肩をすくめて横になる。

 気になるけど、ま、いいか、って。

 また聞きただす機会はあるわ、そう思いながら。

 ・・・ああ、家の匂いがする。この安心感、それから、ダンの涼しげな香り・・・。

 整った綺麗な顔、それをしばらく眺めていて、神の寝息を聞きながら私も夢の中へと入って行った。


 意識が途切れるその瞬間まで、ヤツの体から出される小さな光の粒子が、瞼の裏で踊っていた。




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