カメカミ幸福論
数メートル先か、それとも物凄く近くか、よく判らない距離に男の人がいた。
長い髪、その色は白に近い色で、服装も全部白いものを身につけている。長い睫毛。しかもそれは金髪で、灰色にも赤にも紺にも見える瞳で、彼は私を見ていた。
この人、知ってる気がする。
私は彼に体を向けて、そう思う。
この全体が白っぽい人、私どこかで会ったわ。これだけ派手な人なのに忘れるなんて不思議。どこで会ったかしら、いつ会ったんだろう・・・。
彼は美しい微笑を浮かべて私を見ている。
どのくらいの距離が開いているのか判らない。だから近づくのにどうしたらいいか判らなかった。
だから私はそこに突っ立ったままで、口を開こうと努力する。
―――――――あなたは、誰?
声が出ないようだったので、心の中でそう問いかけた。
普通では考えられないことでも夢の中であるという前提なら受け入れられる。私は普通に彼に聞く。
――――――――あなたは、何?
彼がその整った口元をゆっくりと上げた。アーモンド型の瞳を薄めて、微笑みを作る。
そして一言、言った。
『俺は、神だ』