カメカミ幸福論


「うわあああああ!!」

 私はそう叫びながら寝転んだままでざざざ~っと後ろに下がりまくった。

「なんっ・・・なん、なんっ・・・!」

 なんであんたがここにいるのよ~!!!声にならない言葉を心の中で絶叫して、私は自分の部屋に座り込むやたらと美形な男を指差す。

 すると彼は、つんと顎を上げてその綺麗な瞳を細める。どうやら気分を害したようだった。

「あんた、ではない。ムツミ、こちらは人間の言うところの、神様だぞ。お前は敬って傅(かしず)くべきだ」

「はっ!?」

「だから、俺は神で」

「はああああっ!??」

「おい――――――」

 私は驚きのあまりのへっぴり腰を急遽なおした。こんなイカレタ男に怖気ずく必要などないではないの。大体、ここは私の部屋だ。当たり前だけど治外法権がある。ここの、絶対権力は誰が何といおうとも私であるべき。

 まあ要するに、あまりにもとっぴょうしのないことが続いたので、恐怖や驚きよりも怒りがわいてきたらしかった。

「神?!髪とか紙の間違いじゃないの?あんたいい年こいて頭大丈夫!?」

「・・・ムツミ」

「勝手に人の名前を気安く呼ばないでよ!ってかどうしてあんたがここにいるのよ!それでもってどうやって私はここに戻って――――――――」

 それにどうして私の部屋や名前を知ってるの~!!

 もう何が何だか判らなくなってきたけれど、そこで私は更に目を見開いてピタっと止まった。


< 17 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop