カメカミ幸福論
「うわあああああ!!」
私はそう叫びながら寝転んだままでざざざ~っと後ろに下がりまくった。
「なんっ・・・なん、なんっ・・・!」
なんであんたがここにいるのよ~!!!声にならない言葉を心の中で絶叫して、私は自分の部屋に座り込むやたらと美形な男を指差す。
すると彼は、つんと顎を上げてその綺麗な瞳を細める。どうやら気分を害したようだった。
「あんた、ではない。ムツミ、こちらは人間の言うところの、神様だぞ。お前は敬って傅(かしず)くべきだ」
「はっ!?」
「だから、俺は神で」
「はああああっ!??」
「おい――――――」
私は驚きのあまりのへっぴり腰を急遽なおした。こんなイカレタ男に怖気ずく必要などないではないの。大体、ここは私の部屋だ。当たり前だけど治外法権がある。ここの、絶対権力は誰が何といおうとも私であるべき。
まあ要するに、あまりにもとっぴょうしのないことが続いたので、恐怖や驚きよりも怒りがわいてきたらしかった。
「神?!髪とか紙の間違いじゃないの?あんたいい年こいて頭大丈夫!?」
「・・・ムツミ」
「勝手に人の名前を気安く呼ばないでよ!ってかどうしてあんたがここにいるのよ!それでもってどうやって私はここに戻って――――――――」
それにどうして私の部屋や名前を知ってるの~!!
もう何が何だか判らなくなってきたけれど、そこで私は更に目を見開いてピタっと止まった。