カメカミ幸福論
「・・・カメは・・・昔は、凄かっただろ。仕事だってガンガンやってたし、毎日よく笑ってたよな。付き合いも良かったし、同期でよく一緒に出かけたろ」
「え?ああ、そうかもね、3年以上前はね」
「俺はその頃から好きだったんだよ」
さらっと、小暮がそう言った。照れも躊躇もなく、あまりにも自然にそういったから、その時は私もあっさりと頷いてしまう。
「うん」
「それが、何があったかしらねーけど突然やる気をなくしたよな。その時俺は頼られなかった、それが悔しかったってのも、前に言ったよな?」
・・・言った・・・んですかね?ええとー、それは、まだダンがいて、まさかの告白を小暮にされたあの夜と同じ時よね?
私はバタバタと瞬きをする。だったら、覚えてないです。だってあのバカ神が踊ってて―――――――・・・
また水を飲みながら、小暮は思い出すような顔をして続ける。
「やる気を失ってから、確かにカメは無表情になったな。話さなくなったし、笑顔も滅多に見なくなった」
「・・・うん」
「だけど、話しかければ変わらない対応してくれたし、派手に飾ってないところとか・・・嫌いになる要素は全然なかったんだよ」
「・・・」
へー、と思った私だった。心の中で、へーボタンを3回ほどは押した。
この3年間、元々課の違う小暮とは、そもそもあまり会う機会がなかったのだった。課が違うから私が仕事をしなくてもヤツには影響もない。それで好意が変わらなかった―――――――ってわけ?・・・あらまあ!