カメカミ幸福論
「・・・崩れまくり、だな」
「判ってるわよ!だから放し―――――――――」
ヤツは、私を離してくれなかった。それどころか更に引き寄せて、そっとキスをしたのだ。
「こぐ・・・」
条件反射的に目を閉じてしまってから、私は心の中で叫びまくった。ええええーっ!!!?って。そりゃここはそういうことする場所なんだろうけど、私なのよだって、って。ええええええええ~っ!??だ、ほんと。
大きな両手で包み込まれて、何度も唇を合わせてくる。その内遠慮がちに入れられた舌は、焼酎の味がした。
「・・・こぐ、れ・・・」
「黙って」
「・・・ねえ」
「うるさい」
柔らかい、そして温かい、唇。生き物みたいに動く舌と、絡まる呼吸。小暮の重い体。それはダンとは違って、ちゃんと私からも触れることの出来る体だった。
小暮のシャツに私の指が食い込む。いつの間にやら押し倒されて、唇がはれ上がったかと思うくらいに長い口付けを受けていた。
二人とも結構な酔っ払いだった。だけど、水と会話でそれなりに覚めつつあって、だから私は力が抜けながらも若干パニックに陥っていた。
ええ~っと、その、あの、どうしたらいいのっ!??って。
「よいしょ」
ベッドサイドのリモコンで、小暮が部屋の明りを落とす。薄暗くなった部屋の中で、少しばかり呼吸を乱しながら、彼が言った。