カメカミ幸福論
だってだって、このボリュームの足りない胸とか、憎たらしい贅肉のつきまくっているお尻とか太ももとかお腹とか!
それらを、本人の意識がない内にじっくり見られていたなどと、考えるだけで頭が爆発しそうだった。見た相手が美形だろうがブサイクだろうが関係ない、それだけで死にそうな出来事だ!
自慢じゃないが男日照り著しい私だ。よって、肉体美なんてものに手を掛けていた頃ははる~か昔の話なのだ。
男は暫く宙を睨むように静止していたけれど、そのうちむすっとした顔で頷いた。
「ふん。ヘンタイとかキチガイというのは要するに罵り言葉なわけだな。酷い言われようだ」
それから、いきなりじろじろと私の全身を眺め回し始めた。
「な、な、何っ・・・さっさと出て・・・・」
焦りまくる私を高いところから見下ろして、その美形は鼻で笑った。
「大した体じゃない。安心しろ、俺は美しいものは見慣れているから、間違ってもムツミにはなびかない」
カッコーン!
まさしく、天井からたらい桶か何かが落ちてきたかのような衝撃があった。
つまりそれほどムカついたってことだけど。
あまりに怒りがきつすぎて、過呼吸になるところだった。私は口をパクパクさせたままで暫く男を凝視する。目で殺せるなら今すぐ殺したいくらいだ。視線をぐさぐさとヤツに指しまくって流血させてみたい。是非とも!今すぐ!
神様、いるならどうか、望みを叶えて――――――――