カメカミ幸福論
「カメとデートして、抱いたっての、終わったことにしたくないっつってんの。・・・あのさ、一応聞くけど、亀山睦さん」
急に真面目な顔になってフルネームを呼ばれて、私は驚いて財布を握ったままで固まった。
「え。は、はい?」
「俺達もう、ただの同期じゃねーよな?」
「う」
「う、じゃなくて」
「ええと・・・」
「昨日の夜あんな顔見せといて、まだいいお友達とかなしだよな。俺の気持ちは知ってる、そんで、お前の気持ちは?」
小暮の口調は穏やかだった。だけど、布団に隠されている両手は握り締められているようだった。私は羞恥心から目をあわせられないがためにそれに気がついてしまって、余計に詰まってしまった。
真剣さがビシビシやってきたのだ。彼が出す真剣なオーラは、真っ直ぐに私に飛んできて突き刺さっていった。
今まで不真面目に、フラフラと漂って、色んなことを見えないことにしていたけれど、今回はそういうわけにいかないってこと。それが凄くよく判った。
答えないと。私も、ここは真剣にならないと。そう思った。彼を断る理由はない、別に嫌でもなかった、それに小暮といると楽しいし、昨日だって、久しぶりに感じてしまった。それに小暮と付き合うとアイツにも叱られたり嫌味を言われたりすることがなくなる――――――――――・・・
え?
私は一瞬、ぽかんとした顔をしてたと思う。
・・・アイツって、誰?