カメカミ幸福論


「だから」

 男がニヤリと笑った。その企んだような腹黒そうな笑顔でさえ、綺麗だったのが何とも悔しい。

「無駄だって。今目の前にいるのが、神だ。俺には俺は消せない。・・・いや、正しくは消せるけれど、消す気はないんだよ。いいからそんなに怒ってばかりいないで話を聞いたらどうだ?」

 吐き気がした。

 その、頭の中を読まれた感じがダイレクトに気持ち悪かったのだ。私は今度は自分が青くなりつつあるのを感じながら、ゆっくりと深呼吸をした。

「この変態・・・」

「神だってば」

「神でもバカでもどっちでもいいわよ!とにかく、あんた・・・」

「神、様、だろ?人間風情が偉そうにー」

「喧しい、クソボケ~!!とにかく私は裸なの!こんな状態で冷静に話しなんて出来るわけないでしょうが!」

「裸じゃない。よく見ろ、あんた、布巻いてんじゃないか」

 うがああああ!!

 何とかこいつを退治したい。そして私のいつものまともで落ち着いてダラダラした夜を取り返したい!そう本気で思って、私は武器になりそうなものを探してキョロキョロと周囲を見渡した。

 本・・・つっても武器になるような厚みがない、残念!机・・・はこの毛布でぐるぐる状態の私にはすぐさま担げない、残念!包丁・・・は台所だっつーの!超残念!!


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