カメカミ幸福論
告白・・・された、ここで、確かに。うん、それは覚えている。だけど―――――――――・・・
私は一生懸命考えて、記憶を掘り起こそうと何回目かの努力をする。
その時って勿論二人だったわよね。そんで、そんで、ええと、美紀ちゃんと飲んでて小暮が入ってきて、だから私は酔っ払ってて・・・記憶が曖昧なのよねえ?
その時の全部が嫌にぼんやりとしているのだ。小暮が言う私もちょっと変だったみたいだし、そんなに酔っ払ったつもりはなかったけど、実はそうだったのかな?私は一人で首を捻る。
告白されたのがあまりにショックで記憶障害が起きてるとか?・・・それはちょっと情けないわよね。
私は小暮を見上げて恐る恐る聞いた。
「その時私さ、付き合うって言ったっけ?」
「・・・やっぱり忘れてんじゃねーかよ」
ため息をついて、小暮はがっかりした表情を浮かべた。あ、なんか申し訳ないぞ。
「ごめん、もういいや」
やめよう、この話を。そう思った。今までだって過去にはこだわらなかったはず、このことだって特にこだわる必要はないでしょ、心の中でそう思った。
どうしてだか詳細を覚えてないけど、とにかく私は小暮に気に入って貰えた。それから、付き合うことになった。で、今は一緒にいる。それでいいわよ、って。
「信じられん。あんなに一生懸命だった俺が可哀想だぜ、マジで」
小暮はブツブツと隣で拗ねている。せっかくさっきまで上機嫌だった彼をへこませてしまったことが申し訳なくて、気分を変えてもらおうと私は彼の肩をトントンと叩く。
「上がっていくでしょ?コーヒー飲む時間はある?」