カメカミ幸福論


 途中でスーパーによって、値引きされてる惣菜でも買って・・・ご飯は冷凍のがあるし・・・あとはビールと・・・。そんなことをつらつらと考えていたのだ。

 晴れ、微風の初秋の夜。人影はなく、ただ私がペダルを踏む音だけが闇の中を漂っていく。

 ああ、いい風だわ。もうすぐ十五夜なのよね、そういえば。

 自転車を漕ぎながら、少しだけ目を瞑る。髪の毛を揺らして瞼を撫でて通り過ぎる夜風が気持ちよかった。やらなければならないことをして、ほどよく疲れた体に一日の終わり。

 いい気分だわ、ほんと。充実感っていうか―――――――――・・・

 その時、丁度いつもの公園に差し掛かっていた。

 また人気のない公園に、自転車に乗った私が一人。その私がペダルを漕いでいて、ついクセで空を見上げた時だ。

 空から、何かが降りてきた。

「・・・・へ・・・?」

 私は無意識に漕ぐ足をとめて、そのまま呆然と上を見上げる。

 それは闇夜にキラキラと光りを撒き散らしながら、ゆっくりと降りてくる。

 雲を割って、一直線にここまで。

「え、ええ!?」

 つい激しく瞬きをした。肩に掛けていた通勤鞄がするすると落ちてしまうのにも気がつかなかったほど、私は驚いて空を見ている。

 ななななな、何、何なのよ!?何かが降りてくる・・・空から・・・あれは、人・・・?


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