カメカミ幸福論


 細かい光の粒子を撒き散らしながら、その白い何かはこっちに向かって真っ直ぐに、ゆっくりと降りてくるのだ。

 私は口をぽかーんと開けっ放しにしてそれを見詰めて―――――――――――――



「あ」

 と、呟いた。




 ・・・私は、この光を知っている。





 全身が白い何かは近づくにつれて人型になり、男性だと判った。プラチナブロンドの長い髪がサラサラとはためいて、小さな光がその度に散らされる。

 長い睫毛。プルプルの唇。それから、白い肌と何色とも形容出来ない瞳の色。しっかりした顎と鼻の線。草原を吹き渡る風のような香り。全身から零れ落ちる光――――――――

「―――――――――・・・ダン・・・」

 ヤツは、に~っこりと微笑んだ。

「ムツミ、ちょーっといい女になってるじゃないか!ようやく普通になったんだな~、それで」

 爽やかな声を著しく裏切るチャラチャラした言い方に、いきなりどっとした疲れを感じた。私はため息をついてから、額に片手を当てる。・・・ほら、ちょっと眩暈がね、ええ。


 すっかり忘れていた。

 そして今、思い出したのだ。

 神が、そこにいた。


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