カメカミ幸福論


 ふう、とおも~いため息が聞こえる。それから、男が指をすいっと上げた。

「ほら、これで文句ないだろう」

 ・・・は?

「え?」

 急に腕に足に胸に腰に感じた布の擦れる感触。私は驚いて毛布の下を覗き込む。それから、絶句した。

 私は服を着ていた。しかも、今はヤツの背後のクローゼットの中にあるはずの、半年後までは着ない予定の冬服を。

 ・・・・どういうこと?何で、今この服着てるの。あれ・・・?

 ぐらぐらと回る視界の隅で、そのやたらと綺麗な男が笑った。その独特な明るい声で。

「信じた?じゃあ、とりあえず叫ぶのは止めてくれ。いい?」

 私はコクンと頷いた。

 だって、他にどうしようがあった?

 自分のことを神だとぬかすこの男、それが真実かどうかなんて私には判らない。だけど・・・だけど、不思議な力を持ったやつであることは間違いないらしい。


 神、だってさ、この男。

 神・・・・神。あはははは。


 ・・・オー・マイ・ゴッド・・・。



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