カメカミ幸福論
はあ、ともう一度ため息をついてから、私は無愛想な顔でヤツを見た。半眼で。
「・・・相変わらず、無駄にギンギラしてるわね。節電ってことばを知らないの?」
「その減らず口は何とかならなかったのか~?せっかく褒めてやったのに、可愛くない人間だぜー」
ふんわりと地上3センチほどのところに浮かんだままで、久しぶりに見るダンはそう言って顔を顰める。
褒めてなかったでしょうがっ!
その突っ込みは叫び声になって吹き出しそうだったけれど、寸前で何とか飲み込む。偉いぞ、私!やはり夜に騒音はよくない。
私は疲れた自分の頭をコンコンと叩いた。
・・・この、無駄に派手で無駄に長身で無駄に俺様で無駄に煌びやかで無駄に美形なバカ神を、どうして、一体どお~うして、私は忘れていられたの?って。
ダンがきっと目を細めて言った。
「聞こえてるぞ、思ってること」
「勝手に読まないでよ、人の頭ん中!」
「本当に失礼な生き物だよ、ムツミは」
お互いが不機嫌な面でぶーぶーと苦情を言い合っていた。
私は周囲を改めて見回した。人気がないのは、こいつの仕業だったってわけよね。全く!
「ちょっとあんた、いきなり姿消してどこいってたのよ!?観察も終わるんならちゃんと挨拶していくのが筋ってもんでしょうが!」