カメカミ幸福論


 パクパク。怒りのあまり呼吸困難になりかけた。酸素マスク、今すぐ出せ。お前が神だと名乗るなら。

 真っ赤な顔でギラリと睨みつける私にうんうんと頷いてみせて、ダンは何てことないように言った。

「いやあ、観察は対象者のそばでする決まりなんだ。だけど、その~、ほら、ちょっと規則を破って色んなことしたからさ、叱られちゃったってわけで。それで来ようにも来れないから、特別に鏡で観察を――――――――」

 私はパッと片手を横に振ってヤツの話を止める。・・・・今、なんか聞こえたわよ。

 一瞬で自分の怒りのマグマが姿を消したのが判った。

「・・・あんた、叱られてたの?」

「そう」

「もっと偉いカミサマに?」

「まあ、そうだな。学校の先生のような立場の神に」

「すき放題したから?」

「そう」

「―――――――――」

 余りにも激しく怒ったために、私の精神の糸は張り詰めまくっていたのだろう。次の瞬間私は、ゲラゲラと大爆笑していた。

「あははははは!!説教されてたってわけ~!?あんたが、あーっはっははははは!!」

 パンパンと両手を激しく叩きながら爆笑した。


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