カメカミ幸福論
総務中が初めての運動会にしっちゃかめっちゃかになってしまっている内に、私は通常業務をこなす。もう大分カンも戻って来ているから、それ自体はそんなに苦痛ではなかった。
だけど、普段あまり動かない社内を色んなところまで出向くようになったので、社内でもやる気ゼロお局で有名だった私の再起が知れ渡ってしまったらしい。
「今、総務が来たんだけど・・・亀山だったよ」
みたいな会話がいたるところでされているのだった。亀山の前に、「あの」がつけられることも多々あるらしい。それを、小暮が嬉しそうアーンド誇らしそうに報告してきたとき、私は覚悟を決めたものだ。
・・・私の、フリーで自堕落な社会人生活よ、さようなら、って。
普段の業務で係わる人が増えれば増えるほど、以前は嫌味全開だった派遣社員の皆さんとか他部署の上司などが気持ち悪い笑顔で会釈をしてくるのだ。お疲れ様でーす、とかいって。
うええええ~・・・私は廊下に出ると同時にこっそりと顔を顰める。
人間の対応は、案外あっさり変わるものなのね。学んだわ。
そして10月。室内ではなく健康的に外でやろう!という社長の残念な張り切りによって、近所の広大な運動公園で我が社創立以来初めての社内運動会が開催されたのだった。
晴れ、微風、運動会日和。
つまり、女性陣は全身に日焼け止めを塗りたくる必要がある天気ってこと。
開催にこじつければあとは「運動会チーム」が実行するってことで、久々に明るい顔をした総務の面々とブルーシートに座って、日ごろ運動不足なオヤジ達がドタバタ走るのを眺めていた。