カメカミ幸福論


「さっきも言いかけたんだけど、俺はここに研修に来た。その相手がカメヤマムツミなんだ。それはお前だろう?だから、人間時間で・・・3ヶ月ほど、相手を頼む」

 はーい?私は顔を顰めて即答する。

「え、嫌よ」

「・・・そういわずに」

「嫌よ。だってどうして私がそんなことを!」

「仕方ないだろ~。色々な条件が重なって、最適な対象がお前だと出たんだ。俺だってもっと綺麗な対象が良かったけれど、選べないから仕方ない」

 い、色々ムカつくけれど、とりあえず今突っ込むところはこれよ!私は噛み付きそうな顔で聞いた。

「条件?条件って何!」

 えーっと、と神・・・ええと、ダンと名乗った男は考えながら言った。

「その国において成人している女体。独身、日々が充実しておらず、満足していないにも係わらずそれを認識していない人間。概ね暇で、周囲との付き合いがあまりない者」

 くっそー、合っちまうぜ、その全てが!私はイライラと爪を噛みながらそう思った。悔しい。だけれども、自覚があるくらいには、今の条件にあってしまっている。

「それに付き合うことで私に何のメリットが!?」

「・・・うーん。まあ、特にはない、が。全てが終わればちゃんと記憶は処理する。俺がいた時の記憶は代わりとして幸福な日々の記録に変えてやる。それが報酬だ。だから、お前は俺に協力すると、凄く幸せな過去の記憶を手にすることが出来るんだ」

 幸せな過去の記憶?

 私はあまりに予想もつかないその返答に、ぐっと息を詰まらせる。でも・・・それって、何か違うくない?


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