カメカミ幸福論
私はダラダラ~と姿勢も顔も崩しまくって応えた。
「別に・・・。ほら、やる気ないときってあるでしょ?5月病っていうの?あんな感じ」
「亀山さんにやる気がある時なんかありましたっけ?」
美紀ちゃんは思いっきり呆れた口調でそういって、私の前にバンと書類を叩きつけた。
「ほら、しっかりして下さい!お局様なんでしょ、そう呼ばれるほどに長い間ここにいるんですから張り切ってやってくれないと仕事が進まないんですってば!訂正印、いりますよ。こことここ。今やってください!」
「・・・お局様だと思ってるなら大事にしてよ~」
ぶつぶつ言いながら、私は仕方なく身を起こし、彼女の言うままに書類に手をいれる。何てきつい後輩だ。だけど、私がここの席でダラダラしていても毎月給料を貰えているのは彼女のお陰であることの方が多い。それは判っている。優秀な後輩がいて、ほんと私はラッキーだ。
はい、出来た、そう言いながら美紀ちゃんに書類を渡す。ついでに口を開いた。
「美紀ちゃん」
「はい?」
既に歩き出していた彼女は上半身を捻って私を振り返る。変わらずにだらけた格好で、私はぼそっと言った。
「・・・窓際、も忘れてるよ」
「は?」
「ただのお局じゃないのよ~、窓際なの、私」
ガックリと肩を落とす彼女。頭痛がするらしく頭を片手で抑えながら言った。