カメカミ幸福論
「大変そうだな。頑張ってやれよ、ムツミ」
ぶっちーん。
私は辛抱たまらんとなって、廊下に走り出し、一番奥の壁に「ドタマに来たぜパンチ」をお見舞いした。
バコっ!と結構いい音がして、ついでに私の拳もひりひりと痛む。ううう~!何て可哀想なんだ、私!
ふわふわと廊下を漂いながら、ダンが聞いた。
「ムツミ・・・何をしている?」
「あんた邪魔しないって言わなかった!?」
うがあ!私は振り向きざまにそうがなりたてた。ダンをちょっと片眉を上げて、小首を傾げる。
「・・・邪魔などしていないだろー」
「してるのよ、思いっきり!!」
痛む拳を押さえながら私は怒鳴る。やはり声は抑え気味にしていたけれども、あまりにもムカついてそのままダンを連れて資料室へと走りこむ。
ドアをガンと閉めて、私は遠慮なく怒鳴りまくった。
「あんたが何何って一々聞くから全く落ち着かないじゃないのよ!仕事にならないのよマジで!あんたに答える私は一人でベラベラ喋ってる完全にオカシナ女になってるじゃないのよ~っ!!」
ダンはちょっと仰け反った。どうやら私の癇癪に驚いたらしい。それから光零れる長い髪に指を通し、平然とした顔で言う。