カメカミ幸福論


 だけれどメゲずに私は即行でサングラスを装着する。こんなこともあろうかと用意しておいて正解だった。

「見えないわ~」

「・・・カメ女」

「何よダンダ~ン!」

「何だ、それ?」

「ちったあこの国の文化も勉強しなさいよ、暇なんだったら!」

 実に馬鹿らしい罵りあいをこの後もしばらくすることになった。

 はあはあ、と無駄に疲れてしまって、私は布団にゴロンと横になる。ダンは膨れて姿を消してしまっていた。見上げる天井はいつもと同じ茶色のくすんだ色をしている。

 ・・・何か、お腹空いたな。

 私は寝転んだままで呼吸を整える。

 よく考えたら、誰かと怒鳴りあうなんてことも、凄く久しぶりなんだった。

 この部屋に一人で住んで、既に8年。私はいつでも、ここで一人だった。

 それが今は―――――――――やっかいな居候と怒鳴りあっている。



 声を上げるって、体力使うんだな・・・・。

 ぼんやりとそう思って、天井を見ていた。そして私は、そのままで眠ってしまった。





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