カメカミ幸福論


 美紀ちゃんがボソッと呟く。

「亀山さん、離して下さい。あの野郎をぎったんぎったんに・・・・」

「はいはい、落ち着こうね美紀ちゃん~。休み時間終わっちゃうわよ~」

 ってか、ダン!見てるだけでなくおめーも手伝えよ!天井近くをふわふわ浮いている使えない神に私はガンを飛ばす。ところがダンは喫煙コーナーの中の成り行きに興味があるらしく、私のメンチにも気付いていなかった。

 ・・・くそ。

 ぐいぐいと美紀ちゃんを引っ張って、私は何とかエレベーターに彼女を突っ込んだ。また素早くボタンを連打してドアを閉める。そこで美紀ちゃんが爆発した。

「亀山さん!」

「ん?」

「ん?じゃないです~!く、く、悔しくないんですか!あんな言われ方して!」

「・・・いやあ、だって本当のことだしねえ」

 滅多に出さない力仕事をして、私は疲れてエレベーターの壁にもたれかかった。

 私は確かに彼氏ナシの独身で、仕事もやる気のない窓際族ではある。だからそういわれることに関しては仕方ないと思えるのだ。ただし、倉井に言われたってのが若干微妙~・・・。だってあいつだって仕事に真剣なのかと言われると首を傾げる程度のはず。

 倉井・・・。入社当時に「倉井君てくら~い(暗い)の?」なんつってからかったのを未だに根に持ってやがるのか?


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