カメカミ幸福論
こっそりとそんなことを思っている私の前で、美紀ちゃんが顔を真っ赤にしたままで怒っている。
「亀山さんは仕事してますよ!まあ、ここ最近だけど。それにまだ30歳じゃないですか!結婚も出来ないなんてバカにするのもほどがあります!まあ、確かに結婚はしなさそうだけど」
・・・正直ね、美紀ちゃん。私はつい苦笑する。
「まあそう怒らないで。目の前で言われたなら私だって応戦するけれど、ほら、陰口なんてどこにでもあるでしょ?」
「あんなにしっかり聞こえたんじゃ目の前と一緒ですよ~!もう、小暮課長達がまともな反応して下さったからいいものの・・・」
ブツブツぷんぷんと怒る彼女を連れて、事務所に戻ったのだった。
そうか・・・今晩、本当は同期の飲み会があるのか。
そして私だけ誘われなかったんだ。
今までは小暮が幹事だったから誘ってくれてただけで、きっと同じこと思ってる人は同期にも一杯いたんだろうなあ~、と、そんなことを考えていた。だって、他にも同期は何人もいるのに誰からもメールは来なかった。母親になっている子達はともかく、他の、会社で顔を合わせるメンバーからも、何もなかったのだ。
何のために会社に来てるのか判らないって噂されるお局の私と、同期なのが恥かしいって思ってる人達。後輩の受けも悪く、派遣社員さんからも下に見られるような事務員である私のことを、鬱陶しく思っている人達。
そう仕向けたといえる位に自己防衛はしなかったけど、そう思ってる人達は沢山いるのだろう。