カメカミ幸福論

・小暮の行動



 私の前に天から急に「神様」と名乗る不審な美形が降ってきた。

 ヤツは私を「人間観察の対象」に選んだ、とぬかし、一日24時間、亀山睦という女がどういう人間でどういう生活をしていて、どういう考えを持っているか、を観察しはじめた。

 そのために脅されていた私は仕方なく協力することにした。

 いつでも近くにいるヤツを無視するために、やる気の失せていた仕事すらも真面目にするようになった。

 実家にも久しぶりに帰り、兄と初めてわかりあうという衝撃の体験をした。

 その日の帰りにヤツにズバズバと「自分がいかに幸せから遠ざかっているか」と指摘されて腹を立て、攻撃するも避けられた挙句に抱きしめられ、それを咎めるとヤツは離れて観察するようになった。

 ところが何故か急に考えを変えたらしいヤツは、「マニュアル通りの観察はやめる」と宣言して―――――――――


 ・・・・甘えたの、傍若無人の、俺様神になりやがった。(今、ここ)

 はい、自分の為のまとめ終わり。そう心の中で呟いて、私は経緯をメモ書きした書類の裏紙をそのままシュレッダーへ突っ込んだ。

 感想、超~理不尽・・・。

 うんざりして重いため息をついた。

 美形でやたらと美しい、女神かと見まごうばかりの男神、ダン。

 ヤツは、何と私に強制させることにしたのだそうだ。

 何をって?

 その、現代人の言うところの、「幸せな生活」ってやつを掴み取れと。


< 91 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop