カメカミ幸福論


「・・・やめといてね、美紀ちゃん。自分を大事にして頂戴」

「今晩って言ってましたよね!?あっちいかなくて良かったんですか?その後も誰からも声かけなかったんですか!?」

 もしそうなら総務として執拗な嫌がらせをしてやる!とばかりに目をギラギラさせる彼女を落ち着かせたくて、私は片手をヒラヒラ振った。

「ああ、小暮からはメール来たけど断ったの」

「え!?」

 美紀ちゃんがすぐに反応した。おおー、凄いね、小暮の名前の威力。やっぱり恋する女って可愛いわ~。

「断った!?どうしてですか!」

 テーブルに頭をぶつけそうになってしまった。反応したのは小暮じゃなくて、そっちかよ!もう。

 またスルメを口に突っ込みながら、私はタラタラと話す。

「だって、美紀ちゃんと約束してたし」

「そそそそんなのこっちをキャンセルして下さいよ~!同期会でしょ!?」

「だって先約優先は当たり前でしょ?あっちはそんなに行きたくなかったしさ~」

 夕方に、小暮からメールがきたのだ。社内メールでは勿論なく、私のケータイに、直接。うわ~、メールなんて久しぶりじゃない、なんて思いながら開けたら小暮からのメールだったので苦笑した。

 ヤツはきっと責任を感じたのだろうって思ったから。

 自分が幹事をしていれば、私だけ省くなんてことなかったのにって。


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