エタニティ
でも友人として仲良くなっていくうちに、彼がずっと付き合っているという、守ってあげたくなるような可愛らしい1コ下の女の子を、ほどなく紹介された。

少しのショックと諦めと。

このまま友達で良いという気持ち。


そんな頃「あの映画面白そうだよね」なんて葉山君と話していた、B級アクション映画を一緒に見に行くことになった。

「可愛い彼女に悪いから」とはじめは断ったものの「あいつはこういうのは興味無いから」と葉山君は冬休みに、再度私を誘ってくれた。

あれがデートだったのかさえも、今となっては怪しい記憶だけど。

でも、帰り道のたった一度のキスはいつまでも記憶に残っている。

その意味さえ問えなかった、苦いファーストキス。

当時、この話を智世にした時は、なんで何もしなかったの?と怒られたのだけど、その時の自分には自信がなくて、想いを伝えるなんておこがましいとさえ思っていた。


今となっては、全て懐かしい思い出。


20代半ばの頃にあった同窓会は仕事が忙しすぎて、何の躊躇もなく欠席した。

でも30歳を過ぎた今、少し後ろを振り返ってみるのも良い。

なんて、そんな余裕が出来たのは、今が充実しているということか。

そうしたら、陽希(はるき)のお蔭かな。

私の大事な癒し犬、ハルワンコ。


陽希は、この同窓会のお知らせ葉書きを目にした時、「こんなの行くの? しかも今時、葉書き?」なんて珍しく毒づいていたけれど。
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