エタニティ
いつになく真面目な顔をする陽希に、私は少し戸惑い、頬が熱くなる。


……話しの流れが良く見えない。

どうして今、このタイミングで……こんなのまるで殺し文句じゃない。


私が声を無くしていると、隣りに座っていた陽希は、どんどん体を躙り寄せてくる。

いつの間にか私は、壁とソファの隅に追い詰められてしまい、陽希の胸にそっと手を付いた。

「ハル、からかわないで」

「からかってないよ、美知佳さん」

陽希は胸に置いた私の手を取ると、ゆっくり指先にキスをして、囁く。

「いつも本気」

陽希の優しく啄むようなキスは、指先から首筋へ、そして唇へと移動し、私の体を煽る。


この日の陽希は、まるで媚薬のように……私を惑わせた。




―――――
―――

クラス会の宴もたけなわとなり、皆の華やかな話し声が、店の中の空気を包む。

昔話と近況報告が交錯し賑やかな笑いが起きる、そんな輪が幾つか出来ていた。


会社勤めをしている人、結婚し子供がいる人、起業して社長になった人。

皆、高校を卒業してから、それぞれの人生を歩き出している。


私がいるこの席は、智世を含めて既婚女性が多く、旦那様の仕事や子供の話しが延々と繰り広げられていた。

どれにも無関係な私は、微妙な疎外感を抱かずにはいられない。
< 5 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop