エタニティ
今思えば高校時代、部活の仲間は別にしても、クラスの女子達独特の雰囲気が苦手だった。

彼氏の自慢や、合コンの話しについていくことが出来ず、男子と話している方が気楽だった私を、智世だけはいつも、気にかけてくれていた。

智世は私が女子の輪から外れないように、私と他の女子との橋渡しをしてくれていたのだ。


周りの雰囲気に飲まれてぼんやりしていると、隣りに座っていた旧姓林さん(だった?)に声を掛けられた。

「並木さん、見た感じは随分変わったみたいだけど、今何してる人? 結婚は……してないみたいね」

私の左の薬指を覗いて、勝手に頷く彼女。

「あ、私?」

「……並木さんて、昔からそんな感じよね。我関せずって言うの? 女なんて馬鹿みたいって思ってる?」

彼女の目は私を藪睨みしているが、それは検討違いな憶測というものだ。

何なの? 絡み酒?

「美知佳はねぇ、キャリアウーマンなのよ。ティーンズ雑誌の副編集長なんだから」

そこへ智世がニコニコしながら、話しに割って入って来た。

「……へぇ、そうなの」

智世の言葉を聞いて、今度は訝しげな眼差しを私に送る。

彼女の指には当然のようにマリッジリングがくっついていて、その眼は仕事が幸せなの? と言わんばかりだ。


仕事している女性ばかりに囲まれていたから、こんな感覚忘れていたわ。

私って、いわゆる結婚してない三十路女。

世の中が、勝ちとか負けとか言っている、そういう部類に入る人間だったのね。
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