大好きな君に最高のチョコを
親友がくれた大きな勇気
秀斗と廊下でわかれてから、自分の教室に入る。
クラスがちがうのが悲しいんだよな…うぅ…。
「おっはよ~ん!!花音ちゃん!」
ドッカーン!
「ぐはぁっ!」
私が教室に入るなり、いきなり体当たりしてきたこの子は、私の大親友メイちゃん。
背が小さくて、目がクリリンとしていて、お人形さんみたいなカッワイイ子。
少し元気すぎるんだけど… いや、だいぶ元気すぎる。
「お、おはよ。メイちゃん。今日は特に元気だね…。」
体当たりの衝撃が残る体をさすりながら私は言った。
すると、メイちゃんはキュートなお口をニヤリとまげた。
「あったりまえじゃん!今日はバレンタインだよ!?
我が大親友、花音ちゃんが付き合って初のバレンタインなんだよ!?
朝からドッキドキだよ~♥」
メイちゃんのおめめが、これでもかっていうぐらいキラキラしてる。
な、なんか恥ずかしい…。
でも、メイちゃんがこんなにも私のことを思ってくれてたなんて。
私はうれしくて泣きそうになる。
すると、メイちゃんがずずずいっと顔を近づけてきた。
「で、いつわたすの?昼休み?放課後?あっ!帰り道とか?」
「えっ…」
メイちゃんの気迫に思わずたじろぐ私。
「と、とくに決まってないけど…放課後とか?」
「ええぇぇっ!!!」
ん!?なに!?私なんかへんなこと言った!?
「ばっかじゃないの!?花音ちゃん!!
ダメじゃん!せっかくのバレンタインなんだよ!?」
「う……。ごめんなさい。」
私があやまると、突然メイちゃんがギューッて私に抱きついた。
「あのね、あたしね。
花音ちゃんが秀斗くんのことで泣いたりしてるのずっと見てた。
だから本当に嬉しかったの。
花音ちゃんが秀斗くんと付き合うことになったとき。
頑張ってほしいの。
花音ちゃんは1番大切な親友だから。」
メイちゃんがかすかに震えた声で言う。
私の心にあたたかいものが広がっていく。
「メイちゃん…ありがとう。」
私はまた泣きそうになった。
本当にありがとう。メイちゃん。
私がんばるね。ぜったい。
私は放課後に、あの場所で、秀斗にチョコをわたそうと決めた。
すると急に放課後がまちどうしくてしかたなくなった。
今日こそ伝えよう。ずっと言えなかった言葉を秀斗に伝えよう。
今日はなんだか伝えられそうな気がする。
それはきっと、メイちゃんが勇気をくれたから。
もし、ちゃんと伝えられたらメイちゃんに1番に教えよう。
それでもう1度メイちゃんにお礼を言おう。
私はそう思った。