素顔のキスは残業後に
第6章 必要とされること
首の裏から伝わる温かい腕の感触。
優しく髪を撫でる指先の心地良さに薄く瞳を開いた。
カーテンの隙間から射し込む細い光に目を細める。
至近距離にある柔らかい瞳が驚いたように丸くなって、すぐに意地悪な色を添えた。
「よだれ出てるぞ」
「えっ」
慌てて唇を腕で押さえつけるけど、そんな感触はない。
一瞬固まった私の手首が強く引き寄せられると、下唇を甘く噛むキスを落とされた。