素顔のキスは残業後に
戸惑いの声を漏らすと抱き締められた体がそっと解かれ、両肩に優しく手を添えられてそのままベッド仰向けにされる。


眉間に皺を寄せた不機嫌そうな顔が私を見下ろした。



「そんな格好とそんな顔で、出るつもり?」


「えっと。それは――……そうですよね」


「だろ?」


満足そうに細まる瞳がゆっくりと降りてくる。


触れるだけの優しいキスを幾度も重ねた唇が

頬に、首筋に、鎖骨に――……


気持ちを高めるように滑らかに落されて、鎖骨を離れた唇が至近距離で甘く囁いた。


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