素顔のキスは残業後に
『24日のクリスマスイブ。予定変更してもいいか? 実は、明日っ――……。いや、なんでもない』


電話越しの声が耳の奥まで響く。頭で理解するのに数秒かかった。



『姫様リクエストあれば聞くけど?』


そう彼に聞かれたときに答えられなかったけど、クリスマスイブは二人で過ごすことになっていた。


一緒にいられたらそれだけで嬉しいのに。


そんな私の想いなんて、彼は簡単に見透かしてしまうから。

柏原さんは私の髪をそっと撫でながら、いたずらっぽい笑みでこんなことを言ってくれた。
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