素顔のキスは残業後に
雅人と別れてから触れることのなかった心地良い優しさ。

ふと気を緩ませた隙に入り込んで、鼓動を煩くさせてしまう。


彼は意地悪でひねくれたことも言うけど、きっとそれが自然に出来てしまう人。


まだ傷の癒されない私が思わず寄り掛かってしまいたくなる。

そんな優しさだから――…



「そんなんじゃないですから、大丈夫ですよ」

「まっ、そうだろうな。そんな気を使えるタイプじゃなさそうだし?」


ニヤリと笑った彼に「失礼ですね」と返すと、柏原さんは近くを通りかかった男性店員に声を掛けてくれた。

それからしばらく二人の大学時代の話を聞かせて貰ったあと、五月さんから「そういえば!」と明るい声が上がった。


「ねね。友花ちゃんも、由梨組卒業生なんだよね?」

「そうですよ。でも、よく知ってますね」

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