駆け引きナシのラブゲーム

「…ッぅう…ッく……」
私は、自販機の陰で声を殺して泣いた。

良かった……

本当に、良かったぁー…


「美沙姫?泣いてんの?」
ゆっくりと後ろを振り向く。

「ッ咲…夜ぁ…ふぅッん」

私が咲夜の名前を呼んだ瞬間に塞がれた唇。

久しぶりのキス…。

「…んぅッ…ふぁ……」

その時、昨日の光景が再び蘇る。

「…ッ嫌ぁ!!」

私は咲夜を突き飛ばす。

「美…沙姫?」

「咲夜ッは…咲夜は……女なら、誰にでもキスするんでしょ!?
所詮、私なんて単なる遊びやすい玩具だよね!!!」

「……美沙ッ…」

「私一人で自惚れて……ッ、咲夜にも惚れちゃって…馬鹿みたい!!」

「え…ッ」

私は続ける。

「ははッ、馬鹿みたいでしょ?咲夜がキスするだけで心臓バクバクでさッ。
あの女とキスしてるの見てから気付いたよ……私、咲夜好きなんだって」

< 112 / 117 >

この作品をシェア

pagetop