駆け引きナシのラブゲーム
「…ッぅう…ッく……」
私は、自販機の陰で声を殺して泣いた。
良かった……
本当に、良かったぁー…
「美沙姫?泣いてんの?」
ゆっくりと後ろを振り向く。
「ッ咲…夜ぁ…ふぅッん」
私が咲夜の名前を呼んだ瞬間に塞がれた唇。
久しぶりのキス…。
「…んぅッ…ふぁ……」
その時、昨日の光景が再び蘇る。
「…ッ嫌ぁ!!」
私は咲夜を突き飛ばす。
「美…沙姫?」
「咲夜ッは…咲夜は……女なら、誰にでもキスするんでしょ!?
所詮、私なんて単なる遊びやすい玩具だよね!!!」
「……美沙ッ…」
「私一人で自惚れて……ッ、咲夜にも惚れちゃって…馬鹿みたい!!」
「え…ッ」
私は続ける。
「ははッ、馬鹿みたいでしょ?咲夜がキスするだけで心臓バクバクでさッ。
あの女とキスしてるの見てから気付いたよ……私、咲夜好きなんだって」