駆け引きナシのラブゲーム
〜side.咲夜〜
『咲夜、お前なぁ、自分勝手に苛ついてどっか行って……しまいにはこのありさまかいな?護衛…ぃや、男としてしっかり美沙姫守れや!!!』
家に着いても、廉の言葉が耳から離れない。
「…クソッ」
俺は壁に蹴りをいれる。
「咲夜…?どうしたの?」
母さんだ。
心配そうに部屋を覗いてる。
「母さん………」
「何?」
俺はしばらく黙ってしまった。
「咲夜…?」
「………どうして、親父は…ッ」
一粒の涙が、頬を伝った。
「どうして…俺を、母さんを捨てたんだよ!!!」
母さんは俺と目が合うとすぐにそらした。
「……なぁ、なんでだよ!!!なんで」
「あの人は…」
母さんは俯いたまま口を開いた。
「自分の決めた道を進んだだけよ」
「親父は……俺より廉を選んだってことかよ…」