summer love time
真夏の授業
あたしは高校3年生の
花園 小陽(はなぞのこはる)。
行きたい大学も決まり、進路に余裕が
出てきた夏休み。
今日から1週間、毎年恒例の
おばあちゃんのお家に遊びに行く...
と言っても、おばあちゃんの家は
旅館を経営しているから
一番混む時にお手伝いしに行くだけだけどね!
「今年はどうしても外せない仕事が入っちゃって...ごめんね...泣」
いつもお母さんと二人で行くんだけど、
今回は大きなお仕事抱えてるらしくて
1人で行く事になってしまった。
「おばあちゃんのことよろしくね?ちゃんとお手伝いするのよ!行ってきます!!」
いつもより5分遅れて出勤するお母さんは
ドタバタと嵐のように家を出ていった。
花柄のキャリーバッグの中身を再確認し、部屋にある掛け時計を見る。
あっ!もう5分で家でなきゃ!
急いで家中の窓の鍵を閉め、アクセサリー類が入ったお気に入りのピンクの箱を開け、可愛らしい腕時計と、ピアスを付ける。
ネイルも控えめの薄ピンク色を塗ったし、
髪も巻いて耳の横に二つ結びをしたし、お化粧もナチュラルで決めた。
最後にカンカン帽子を被り、青のストライプワンピースで夏ファッション完璧♡
いくら田舎に行くからって、ファッションを怠ったらダメなの!という無駄なプライド言葉を心でつぶやきながら家を出た。
チクチクするような太陽の日差しと、生温く、威力の弱い風が余計に汗をにじませる。