素直じゃない

なんて考えていたら、小夜ちゃんがふいに少し恥ずかしそうに上目づかいで浅香に視線を向けた。

そして。


「あのね、私。……私、浅香くんの隣になれてすっごく嬉しい」


可愛らしくはにかんで、そう言った小夜ちゃん。


もー、本当可愛いなぁこの子は……、って。



「「……え！？」」



な、な、な！？


何言ってるの、小夜ちゃん！？


あたしも浅香もすぐには言葉が出ずに、パクパクと餌を求める魚のように何度も口を開け閉めしてしまう。




「……あ、あはは！からかってんのか！そうか。

櫻野、普段冗談なんか言わねーから、一瞬本気にしちまったじゃねーか！驚かすなよ！」


あはは、とどこかぎこちなく笑う浅香。

動揺してる。

こいつ、動揺しまくってるよ！


あたしだって人のこと言えないけど！


むしろ浅香より動揺してるかもしれない。


「そそそそうだよ、小夜ちゃん。びっくりしたなぁ！」


ワハハと笑って浅香に同意する。


どもりすぎだ、あたし。

そしてワハハってなんだ、あたし！