一筋のヒカリ。
「大丈夫?」

「うん、ちょっと眠いけど・・・」

何も眠くないのに、わざと眠そうな表情を作った。

「でも、マジで何か変だよ?」

心配そうな佳織の声も、美沙には信じられなかった。
信頼なんて、出来ないよ。
傷つくのは、相手の方だから。
もう、あんな事は嫌だから。

もうしなければいい、気をつければいい。
そう思っても、そうすれば良いことが分かっていても、そうすれば楽なのに、どうしても辛かった。

これ以上、近づかないで。

そんな、深い絆なんていらないから。


「ちょっと頭おかしくなったかもー」

美沙は、暗い内心とは裏腹に明るく言った。
由香が、佳織が、麻友が、遥が、笑った。
薄っぺらな、作られた笑いで、繋がり掛けていた絆がまたあやふやになった。
これでいい、そう思いながらも、美沙は自分が間違っていることも分かっていた。
それでも、それを一時でも忘れるために美沙はもう一度笑った。
心の隅へと押しやるために、笑った。
少女の笑顔は、満面の笑みに見えて、それでもニセモノで、まるで仮面のようだった。


悲哀を笑顔の仮面の奥底に隠して、少女はただ時間の過ぎ去ることを祈るように待った。

見えない奥底に隠しても、いくら隅へと押しやっても、消えることは無い。
しかし、少女はそれを知らなかった。
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