生きた証

生まれた理由。

これは勿論、別の人格から聞いた事。
自分が生まれた理由なのだから、当然。

ある日、基本の両親と悠が話しをしていたらしい。
あまりにも認めてもらえず、悠は訊いた。

「ゆぅちゃん達は翔子の一部だと思ってるの?」

まだ4歳の悠。
返ってきた言葉こうだった。

「思ってる」

悠はとてつもないショックを受け、大泣きした。
そして俺と満が生まれて、あの映画の様なシーンに繋がる。
返事に対する怒りから満が生まれ、悲しみから俺が生まれた。
悠は部屋に逃げ込み

「ゆぅちゃんなんか消えちゃえば良いんだ!」

と、大泣きした。
早くもこの時点で満は理解のない両親に対して怒りを覚えた。
同時期ぐらいに生まれたのが、日向と陽向兄弟、彼方。
日向はずっと、自分の役目なんか早く終って消えれれば良い、と主張し続けている。
陽向は生まれた時期が最悪だった。
翔子の妹がちび達に冷たくなっていた頃で、生まれてすぐに冷たい態度をとられた。
故に陽向は他人の言動に敏感で、控え目な性格になった。
彼方は世話好き。ちびの面倒を根気よく見てくれて、統括の手伝いもする。
彼方の役目はもう一つあった。
俺と満の喧嘩仲裁。
それが彼方のもう一つの仕事。
生まれた理由が正反対なだけに、俺と満の衝突は絶えなかった。
取っ組み合いをするわけでも、言葉の言い合いをするわけでもない。
空気がぴりぴりするらしい。
俺の発言に対して満が嫌な顔をする。
満の発言に対して俺が嫌な顔をする。
毎日のようにそんな空気が漂う。
何か手出したりする事はないが、ちびが恐がるので、呆れた彼方が仲裁に入る事が多かった。
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