プリンアラモードを君と。【完】


「琴音には仕事で成功してもらいたいんだ、それがお前の望みだから。バレてイメージが悪くなるくらいなら最初から隠しておいた方がいい。くだらないことで、琴音に傷ついて欲しくない」
「くだらないことなんかじゃない! 倖太は大切な人だよ」
「……琴音……」

すっと、倖太の頬を涙が伝った。


「ありがとう。ちょっとビックリしちゃって。……嬉しいよ」

二人の間のテーブルがもどかしい。
手を伸ばして倖太の頬の涙をぬぐう。

「オレだって本当は世界中の人にいいたいくらいだよ。世界で一番琴音が好きだって」
「本当?」
「ああ」
「琴音はオレなんかでいいの?って、いつも思ってた。女の子の方がいいんじゃないかとか。将来のことを考えたら、オレが縛り付けるのは良くないんじゃないかって」

告白したのは僕からだったけど、倖太がそんなに想っていてくれてたなんて。
そんな自信なかった。

ひょっとしたら、彼も同じだったのかな。
ガラス細工を扱うように、いつも僕には優しく接してくれていた。

遠慮がちなキスも、きっとそれは、倖太の迷いの現れだったんだ。

「誰でもいいわけじゃない。倖太がいい」
「……オレも……琴音がいい」

それならキスして。
言葉にしなくても伝わった。

僕は目を閉じた。


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