プリンアラモードを君と。【完】
「倖太は座ってて、今日は僕が作るから」
「わかった。ハンドミキサーはシンクの下にあるから」
まごまごしていると、倖太がシンク下からハンドミキサーとボウルを出してくれた。
「どうやって使うの」
「……まず、生クリームをボウルに移して」
「うん」
生クリームに砂糖を入れる。
もちろん目分量だ。
「電源プラグをコンセントに差して」
「わかってるよ」
「そうそう、わかってると思うけど、ハンドミキサーの先を生クリームに入れてからスイッチを……っておい!!」
ブイーン。
スイッチを入れてから生クリームの中に入れたため、激しく周囲に飛び散った。
「……」
「……琴音」
二人とも、生クリームだらけになってしまった。
床や冷蔵庫まで飛び散っている。
「……ごめん」
「ごめんなさいだろ。なんで人の言うことを最後まで聞かないの」
「ごめんなさい」
これの後片付けはオレがするの? と笑いながら倖太は顔についたクリームを指でぬぐった。
「お前の顔にもついてる」
「……!」
ぺろっと舐められる。
キス自体は、何度かしている。
それなのに、心臓がはね上がる。
「……」
「琴音、顔真っ赤だよ」
唇が重なる。
柔らかくて、少し薄い倖太の唇はいつも繊細に触れてくる。