プリンアラモードを君と。【完】
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プリンをスプーンですくい上げる。
「琴音とこんなことができるのも今だけだな」
「え……?」
「今に琴音はドラマだの映画だの仕事がバンバン入るようになるんだから」
もっとオーディションに受かって、ドラマや映画で主役をやれるようになる。
それが僕の目標。
「忙しくなったら、家でプリン食べてる場合じゃないからな」
そうだけど。
「……倖太はずっとそばにいてくれるだろ」
「ああ。そばにいるよ」
その言葉を噛みしめる。
倖太の言葉なら信じられる。
こんな自分が素直になれるなんて思わなかった。
「オレは琴音とずっと一緒にいたい。だから、オレたちがこういうことしてるってことは誰にも知られちゃダメ」
「……なんで? 僕は君のことが好きなだけだよ」
倖太はプリンを潰しながら、溶け始めたバニラアイスをスプーンの先で混ぜた。