【B】姫と王子の秘密な関係
集中治療室から先生が姿を見せてくれて、
私たちはお父さんの病状説明を聞くことになった。
女二人だけだと心配なので、
私の恋人と言うことで、高崎さんにも同席を頼む。
急性心筋梗塞で、足首からかカテーテルと言う道具を入れて
治療したということ。
再発をしてしまうことを考えて、今しばらく
集中治療室で入院が必要なこと。
今後の検査データーを見て、
詳しい治療法を検討していきたいことを告げられた。
お父さんの命がとりあえず助かったこと。
お医者さんが教えてくれた、その現実が凄く嬉しかった。
まだベッドで眠り続ける、沢山の機械に繋がれたお父さんを一目見て
私たちは病院を離れた。
明日からは、お母さんは毎日病院に行きたいと思う。
ちゃんとお母さんがお父さんの傍に行けるように、
私が頑張らなきゃ。
私は向こうがあるから、和羽にもちゃんと頼まなきゃ。
病院を出て、携帯の電源を入れた途端に
何度何度も着信してくれた親友の名前。
慌てて和羽の元に電話をかけて、
お父さんの状況を説明した。
「小父さん、心筋梗塞だったんだ。
心筋梗塞って、小父さんたちみたいな働き盛りの人がかかりやすいのかな。
でも治療成功して良かった。
うちもお父さんがならないように気にかけなきゃ。
音羽、向坂店のことは心配しなくていいよ。
本部からも来てくれてるし、私も小母さんが動けるように頑張るから」
「うん。
有難う、和羽」
電話を切った後、そのまま私たちは高崎さんが
手配してくれたタクシーに再び乗り込んだ。
自宅玄関から居住区に帰り着いた私は、
母をベッドに寝かせて、自分の部屋に直行。
パタリとベッドに倒れこんだ。
ふいに手元の携帯がメールを告げる。