【B】姫と王子の秘密な関係
三月一日。
私たちが、お店を守っている最中に
晃介さんの大学の卒業式は行われた。
夕方、「卒業式終わったよ。今から顔出すから」っと
携帯にメールが入る。
そしてお互いのシフトが終わった後、
私は久しぶりに、晃介さんのマンションへと足を踏み込む。
いろんなことが短期間にありすぎて、
この部屋に来たのは、凄く久しぶりな気がする。
「晃介さん、卒業おめでとう」
そう言いながら、
私は晃介さんにギュッと抱き着く。
「有難う、音羽ちゃん」
そんな言葉の後に続くのは、
とろけるような口づけ。
その夜、久しぶりに体を重ねた私たち。
私の両親に付き合ってることを報告して
初めて抱き合った夜。
朝まで同じベッドに並んで、
一つの掛布団を一緒に使って目覚めた朝。
微かに痛みの残る下半身が、
繋がったことを夢ではないのだと教えてくれた。
「音羽ちゃん、俺はこの先もずっと音羽ちゃんを愛してる。
だから音羽ちゃんも、俺だけを信じてほしい。
この先、何があっても」
ベッドの中目覚めてすぐ、
お互いの体温を感じながら告げられた晃介さんの言葉。
何、いきなり……。
晃介さんの言葉が、私の中に不安を募らせていく。
「……晃介さん……」
「音羽ちゃんは何も心配しなくていいよ。
ごめん……不安にさせるようなことを行って。
だけど……大学を卒業したから、俺は家に引っ越すことが決まってる。
次は……俺の家に招待することになると思う。
楽しみにしてて」
そうやって話す晃介さんの言葉。
そっかぁー、大学を卒業したんだったら
実家に帰っちゃうか、一人暮らしを続けるかどちらかの選択になるのは
考えないわけじゃなかった。
でも……ようやく、晃介さんの住んでるところを知れて
特別だって思えたのに……、またふりだしに戻っちゃうんだ。
そんな寂しさが私をやっぱり不安させる。