【B】姫と王子の秘密な関係
エピローグ
幼い時、ただ一度の運命に幼心を
奪われて王子に焦がれつづけた姫。
大人になって再会しても、
王子は運命に惹かれあう様に優しさを持って接し続ける。
王子は本当に、財界の王子まで……
姫はただの一般人。
沢山の秘密と共に、
交わり続けた姫と王子の二人の時間。
お伽噺みたい……。
晃介さんとの時間を振り返りながら、
私も一人呟く。
*
退屈な現実の世界を少しでも忘れたくて、
何時もの自分と違う私に出逢いたくて。
冒険する束の間の時間。
その時だけは私はいつもと違う
私を見つけるの。
全てのストレスを忘れて現実と言う足枷を解き放ち、
私を忘れて一時(いっとき)の夢を見る。
そして再び……
現実の世界にそっと身を置く。
退屈な今を生き続ける為に。
*
だけど……そんなのは、
最初から仮初だって知ってる。
本音を晒してしまえば、
何時も寂しかったから、彼氏が作れなくて、悔しかったから。
私自身の醜い乙女心のなれの果て。
だけど今は……もう、そんな仮初はいらない。
現実の世界で、
私だけのかけがえのない王子様を見つけられたから。
晃介さんって言う存在が、
何時も私を包み込んでくれるだけで、
私は温もりを感じながら歩いていける。
立ち止まらずに、
一歩を踏み出し続けることが出来る。
二人の間に、今までの時間も、
これから先の未来もあるのは、ただ一つ。
姫と王子の秘密の関係。
それは時が熟すまでの、
二人だけの大切な秘密の時間。
「音羽ちゃん、準備が出来たみたいだから。
行こうか?」
仕事の後、晃介さんが手配してくれた美容室で
ドレスアップをした私は、生まれて初めて乗ったリムジンで
高そうな高級ホテルへと連れていかれる。
一気に増す緊張感。
ホテルに一歩立ち入った途端、
着物姿の素敵な女性が、私たちの方へと近づいてきた。
「ごきげんよう、晃介君。
初めまして私、櫻柳桜吏と申します。
彼の兄、早谷由毅の婚約者ですわ。
今宵は、お忙しい中来てくださって有難う。
些細なおもてなしですが、どうぞ最上階のレストランを予約しています」
新しく踏み入れた一歩は、
私の常識をはるかに超えた世界。
そんな風に感じた。
だけど……私の隣には、
晃介さんがちゃんと立ってくれてる。
晃介さんが傍に居てくれるから、
私はこの先も前に力強く踏み出せる。
神様がくれた、
プレゼントを噛みしめながら……。
第一幕
運命的?奇跡の再会~神様の意地悪~ 完結