【B】姫と王子の秘密な関係

エピローグ




幼い時、ただ一度の運命に幼心を
奪われて王子に焦がれつづけた姫。


大人になって再会しても、
王子は運命に惹かれあう様に優しさを持って接し続ける。



王子は本当に、財界の王子まで……
姫はただの一般人。




沢山の秘密と共に、
交わり続けた姫と王子の二人の時間。









お伽噺みたい……。






晃介さんとの時間を振り返りながら、
私も一人呟く。






退屈な現実の世界を少しでも忘れたくて、
何時もの自分と違う私に出逢いたくて。


冒険する束の間の時間。


その時だけは私はいつもと違う
私を見つけるの。


全てのストレスを忘れて現実と言う足枷を解き放ち、
私を忘れて一時(いっとき)の夢を見る。



そして再び……
現実の世界にそっと身を置く。


退屈な今を生き続ける為に。







だけど……そんなのは、
最初から仮初だって知ってる。


本音を晒してしまえば、
何時も寂しかったから、彼氏が作れなくて、悔しかったから。


私自身の醜い乙女心のなれの果て。




だけど今は……もう、そんな仮初はいらない。




現実の世界で、
私だけのかけがえのない王子様を見つけられたから。




晃介さんって言う存在が、
何時も私を包み込んでくれるだけで、
私は温もりを感じながら歩いていける。


立ち止まらずに、
一歩を踏み出し続けることが出来る。






二人の間に、今までの時間も、
これから先の未来もあるのは、ただ一つ。





姫と王子の秘密の関係。






それは時が熟すまでの、
二人だけの大切な秘密の時間。






「音羽ちゃん、準備が出来たみたいだから。

 行こうか?」





仕事の後、晃介さんが手配してくれた美容室で
ドレスアップをした私は、生まれて初めて乗ったリムジンで
高そうな高級ホテルへと連れていかれる。



一気に増す緊張感。




ホテルに一歩立ち入った途端、
着物姿の素敵な女性が、私たちの方へと近づいてきた。




「ごきげんよう、晃介君。

 初めまして私、櫻柳桜吏と申します。
 彼の兄、早谷由毅の婚約者ですわ。

 今宵は、お忙しい中来てくださって有難う。
 些細なおもてなしですが、どうぞ最上階のレストランを予約しています」




新しく踏み入れた一歩は、
私の常識をはるかに超えた世界。


そんな風に感じた。




だけど……私の隣には、
晃介さんがちゃんと立ってくれてる。




晃介さんが傍に居てくれるから、
私はこの先も前に力強く踏み出せる。




神様がくれた、
プレゼントを噛みしめながら……。







第一幕

運命的?奇跡の再会~神様の意地悪~ 完結
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