【B】姫と王子の秘密な関係
「ごめん。
びっくりさせて、この方が雰囲気出るよね」
「あっ……私、大丈夫です。
って言うか、むしろ嬉しいです」
なんて赤面しながら、
しどろもどろになって答える女の子。
「すいません、お写真お願いします」
移動している傍から、次から次へと
撮影コールが入るたびに、俺は今目の前に居る女の子と一緒に
サービスショットをプレゼント。
「悪い。
君、さっきの写真すぐにプリント出来るなら、
彼女にも渡してもらえないかな?」
デジタルカメラだと言うことを瞬時に見極めて、
プリントサービスの機械を指さしながら伝える。
「ここまで有難う。
君も、他の用事があるかも知れない。
彼に、さっきの写真頼んであるから今日の記念に貰って来て」
次から次へと、サラサラと出てくる言葉。
そんな言葉に、俺自身が当初は戸惑ったけど、
それでもこりが、
スイッチのオンとオフに繋がっているような気がして。
「えっと、アキラ様。
次、ご一緒して宜しいですか?」
次の疑似彼女候補が、俺の隣に歩み寄って
お辞儀をして肩を並べる。
こうやって会場を歩き続けながら、
すでに一時間が過ぎようとしていた。
「こんにちは。
アキラさま、今日も賑やかですね」
ふと聞きなれた声が
俺の聴覚を刺激する。
確か……伊代と美紗。
そして……その後ろには、
見慣れない二人。
「伊代は斎藤なんだ。
そちらさんは?」
「私の友達、瑠花をしてるのが乙羽さま。
沖田さんをしてるのが、乙羽さまのお友達で香寿さま」
「初めまして、伊代さまとは親しくして頂いています。
私は乙羽。
漢字は、乙女の乙に羽です。
隣に居る総司は、親友の香寿。
お香の香に、寿で香寿です。
宜しくお願いします」
「ふーん。
美紗は今日も舞か」
「私はヒロインで、いろんな隊士の人たちと絡みたいんです」
「まぁ、好きにしてなよ」
そんな会話を軽く流していると、
別のところから、再び声がかかる。